債務整理を個人で行うのは可能?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

一般的に債務整理は弁護士などの専門家に相談し、手続きを依頼することになります。しかし、特に「弁護士に頼まなければいけない」という決まりがあるわけではありません。個人で債務整理を行っても問題はないのです。しかし、これは誰でも手続きに成功する、ということと同義ではありません。多くの人が弁護士に債務整理を依頼するのには、やはりそれなりの理由があるのです。今回は個人で債務整理を行う難しさやその理由について詳しくお話ししましょう。

個人での債務整理はなぜ難しいのか

冒頭に申し上げた通り、個人での債務整理は不可能というわけではありません。しかし、実際には限りなく難しいといわざるを得ないでしょう。個人での債務整理を行おうとした場合に障害となるいくつかのポイントについてお伝えします。

任意整理では債権者と直接交渉しなければならない

債務整理のひとつである任意整理では、債務者・債権者による任意の話し合いにより過払い請求や支払い計画の立案が行われます。弁護士に依頼するとこの交渉は弁護士が代行しますが、個人で任意整理を行う場合は金融業者と面と向かって交渉を行わなければいけません。相手は金融のプロであり、金融関する法律も熟知しています。加えて「お金を借りている」という立場から、一般の方が交渉で優位に立つことはかなり難しいでしょう。プロとの交渉は同じようにプロである弁護士に依頼するのがベストなのです。

手続きの煩雑さ

どの債務整理を行うとしても大なり小なりの書類作成、裁判所への申し立てといった手続きを踏まなければなりません。一般の方がいきなりできるものではありませんから、勉強をしながらそうした手続きをしていく必要があるでしょう。その間も金融業者からの督促は容赦なくやってきます。この状況が債務者にとって大きなストレスとなってしまうことは、想像に難しくありません。特に個人再生の手続きは煩雑を極め、個人で行うことは不可能とさえいわれています。

無理をして個人で債務整理を行うと…

困難な現実の中、個人で債務整理に挑戦した人もいないわけではありません。しかし、そうした人の多くはトラブルを引き起こしてしまうなど、決して成功とはいえない結果に終わっています。個人での債務整理の失敗例を見ていきましょう。

金融業者との交渉に失敗!負担は軽減されず

任意整理における金融業者との交渉は、弁護士でさえ交渉スキルによって結果が左右されます。本来であれば無理のない返済計画に持ち込むための任意整理ですが、一般の方が付け焼刃の知識で金融業者との交渉に挑んだところで、結果は見えているでしょう。実際に多くの人が交渉に失敗し、従来通りの負担の大きい返済を続けてしまうようです。

裁判所に申し立てを受理されない

特定調停・個人再生・自己破産では裁判所に対して債務整理の申し立てを行います。弁護士に依頼しなければいけない法律などは特にないものの、勉強不足を理由に個人からの申し立ては裁判所から受理されないケースがほとんどのようです。それまで必死に勉強をしていたとしても、裁判所に受付してもらえなければすべてが水の泡となってしまいます。

成立まではかなりの時間を要する

どの債務整理を行うにしても、個人での手続きは相当の時間がかかる傾向があるようです。日常は仕事に追われる中で、勉強や書類作成をするのですから無理はありません。その間止むことのない督促の連絡も手続き進行の大きな妨げとなるでしょう。中には債務整理の申し立て成立まで4,5年の期間がかかってしまったという人もいます。

弁護士費用の負担を軽くするためには

上述したように個人での債務整理には多くの障害があります。しかし、そうした障害を踏まえた上でも、個人で債務整理を行おうとする人がいるのは事実です。その最もたる原因は、やはり弁護士費用ではないでしょうか。ただでさえ借金で困窮しているのだから、その上に弁護士費用を払う余裕などない、と考える人が多いようです。

個人での債務整理にまつわるトラブルや、成功といえる例の少なさを鑑みると、弁護士費用を負担してでもプロに手続きを依頼した方が得策といえるでしょう。債務整理の目的は借金による困窮からの解放であり、個人で債務整理をチョイスしたことでその目的が果たせなくなってしまっては本末転倒といえます。

多くの人が弁護士費用を一括で支払うしかないと考えているようですが、債務整理の相談に訪れる人の事情に配慮してくれる弁護士事務所もたくさんあります。そうした弁護士事務所では弁護士費用の分割支払いを認めているのです。また弁護士費用の支払い自体が困難な場合は「法律扶助制度」を利用するという手もあるのです。経済的な理由から弁護士の利用を諦めている方は、こうした方法を知っておくといいでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

SNSでもご購読できます。